【家電量販月次売上】12月はヤマダ、ビック以外が前年割れに

家電量販企業大手7社のうち、IR情報として月次売上速報を公表しているのはビックカメラ、ケーズホールディングス、エディオン、上新電機、コジマ(ビックカメラの子会社)、ヤマダホールディングス(セグメント別)の6社。いずれもPOS受注売上ベースの数字であり実際の販売額とは合致せず通期の売上等とも異なるが、家電量販企業の足下の販売動向や月々の変化などを知る上で重要な情報となる。
2023年12月度の月次売上速報が出そろった。

※出典:各家電量販企業のWebサイト・IR情報。数字は売上POSデータに基づいて作成したもので、速報値であり決算等の数字とは異なります。ご注意ください。

家電量販企業6社の12月度売上速報

家電量販月次売上速報 2023年12月度

12月は年末・ボーナス商戦の最繁の月であり、11月が全般的に上向いていたため期待されていたが、結果としてヤマダホールディング(デンキセグメント)とビックカメラが前年並みで堅調だった以外、各家電量販店は前年比マイナスとなった。大きな要因として、一時的に気温が下がることがあったものの、全国的に気温がそれほど低下せずエアコンを中心とした季節商品の売上が伸びなかったことが挙げられる。家電量販店によって多少異なるが、テレビやパソコン本体は依然として低迷を続けており、冷蔵庫や洗濯機といった売上構成比の高い大型白物家電も年末商戦期としては冴えない状況になった。製品単価の上昇が続いていることもあって、「家電製品の買い替えは控える」との機運もあると考えられる。さらに新型コロナ禍が収まり、消費志向が多様化したことで、数字には現れてきてないが都市型店舗、郊外型店舗ともに来店客の減少といった課題も抱えていそうだ。年々前倒し傾向が強まっている春商戦に期待したいところだが、その効果で通期業績のプラスに寄与するかどうかは未知数といえる。

ビックカメラ

ビックカメラ 月次売上速報 2023年12月
■月次売上(前年同月比)
2023年
1月
2023年
2月
2023年
3月
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
104.0105.9104.2104.8103.9108.4113.4111.1103.5107.8109.3104.0
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2023年
1月
2023年
2月
2023年
3月
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
音響映像商品101.0101.3101.5105.3102.4111.3114.0112.5110.6103.7108.9105.2
家庭電化商品100.0104.9101.9102.597.3101.7111.7109.8109.499.8109.896.7
情報通信機器商品99.095.193.891.993.796.199.1100.090.9102.8109.5107.4
その他の商品120.9126.8134.3131.6133.4136.3132.6123.8107.7129.8108.9110.0

ビックカメラの12月度は104.0%と14ヶ月連続のプラスとなった。月次売上速報によると「音響映像商品」は、デジタルカメラが好調で、オーディオが堅調に推移。「家庭電化商品」は調理家電や理美容家電が堅調だったものの、冷蔵庫や洗濯機がやや低調でエアコンが低調。「情報通信機器商品」はスマートフォンが好調だった一方、パソコン本体やパソコン周辺機器はやや低調に。「その他の商品」は時計や医薬品、玩具、酒類が好調で、スポーツ用品が堅調だったとしている。

ケーズホールディングス

ケーズホールディングス 月次売上速報 2023年12月
■月次売上(前年同月比)
2023年
1月
2023年
2月
2023年
3月
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
96.799.694.493.090.887.7109.9109.698.795.3102.193.8
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2023年
1月
2023年
2月
2023年
3月
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
テレビ87.886.278.286.282.991.798.599.693.295.7100.094.8
パソコン・情報機器116.0105.499.9102.191.589.387.885.680.977.976.272.2
冷蔵庫103.6116.297.291.486.985.1101.0106.389.593.296.089.5
洗濯機94.6103.198.098.892.4102.9105.4106.694.592.999.395.8
クリーナー92.290.394.896.892.394.794.894.889.378.5104.9104.4
調理家電94.495.290.599.193.5102.2106.9101.393.298.2103.0101.3
理美容・健康器具100.299.797.7106.5103.4106.0104.097.196.096.699.7102.7
エアコン88.191.891.875.284.071.8137.0144.3139.2103.5119.083.8

ケーズホールディングスの12月度は93.8%と2ヶ月ぶりのマイナスとなった。この結果、2024年3月期の第3四半期は96.6%、年計は97.8%と前年度を下回って推移している。商品別では「クリーナー」が104.4%、「調理家電」が101.3%と前月に引き続き堅調で、「理美容・健康器具」も102.7%とプラスになっているが、冷蔵庫や洗濯機といった大型白物家電はマイナスとなった。
店舗状況は新店が2店舗(大阪府)あり、退店が1店舗あったため、月末店舗数は556店となっている。

エディオン

エディオン 月次売上速報 2023年12月
■月次売上(前年同月比)
2023年
1月
2023年
2月
2023年
3月
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
全店96.5103.097.297.797.890.6110.1102.698.196.0104.799.3
直営店95.8103.597.197.997.490.4110.1102.197.895.5104.599.5
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2023年
1月
2023年
2月
2023年
3月
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
テレビ90.190.081.490.591.788.794.192.388.287.792.398.5
エアコン91.397.891.692.198.674.5140.7116.2116.883.6119.385.3
冷蔵庫104.9121.497.698.396.692.4107.398.296.893.2109.294.2
洗濯機93.3112.396.097.589.8101.8108.5105.8108.298.4105.395.8
パソコン112.2106.797.493.394.188.589.178.584.878.978.368.5
ELS事業
(リフォーム計)
97.895.696.595.691.985.890.888.992.685.7103.3106.4

エディオンの12月度は全店で99.3%、直営店で99.5%と2ヶ月ぶりのマイナスとなった。2023年度計では全店で99.7%、直営店で99.6%とほぼ前年並みで推移。商品別では「ELS事業(リフォーム計)」は106.4%と2ヶ月連続のプラスとなったが、その他の商品はいずれもマイナスになった。特に「パソコン」は68.5%とマイナス幅は大きく、2023年度になって各月ともマイナスが続いている。
店舗状況は新店が直営店で2店舗(神奈川県、愛知県)あり、退店がFCで1店舗あったため月末店舗数は1,211店となっている。

上新電機

上新電機 月次売上速報 2023年12月
■月次売上(前年同月比)
2023年
1月
2023年
2月
2023年
3月
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
99.0105.396.195.194.389.8102.6100.0121.092.0118.988.7
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2023年
1月
2023年
2月
2023年
3月
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
テレビ97.790.983.488.385.587.793.788.8151.181.8151.683.1
パソコン105.497.998.495.985.683.488.779.4120.273.8105.264.3
携帯電話139.6130.2115.1121.5116.2115.9125143138.7112.1129.2170.8
エアコン99.992.787.267.582.171.9125.1113.2160.763.8161.367.2
冷蔵庫101.3105.695.392.287.384.695.497.614780.9157.577.9
洗濯機・クリーナー94.0110.893.195.290.994.494.098.7134.386.1141.986.2

上新電機の12月度は88.7%と2ヶ月ぶりのマイナスとなった。2024年度第3四半期は98.7%となっている。商品別では「携帯電話」が170.8%と好調さをキープしているが、その他の商品はいずれもマイナスに。前月は大きくプラスになっていた「エアコン」が67.2%、「冷蔵庫」が77.9%となった。
店舗状況は出退店ともなく、月末店舗数は220店となっている。

コジマ

コジマ 月次売上速報 2023年12月
■月次売上(前年同月比)
2023年
1月
2023年
2月
2023年
3月
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
既存店93.490.486.490.490.689.297.698.790.691.296.593.2
全店94.691.687.890.989.689.398.4100.192.192.398.194.9
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2023年
1月
2023年
2月
2023年
3月
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
テレビ75.474.782.180.878.886.087.687.681.285.492.985.1
ブルーレイ・DVD
(録画機含む)
87.260.256.482.280.283.882.977.281.267.286.681.0
エアコン89.887.684.975.990.373.7120.2123.4143.188.5118.080.7
パソコン
(本体のみ)
108.798.894.694.184.779.581.381.384.079.776.071.2
携帯電話112.4107.189.7102.0102.0100.9108.1131.7116.9108.1123.2182.1
洗濯機95.193.094.2101.599.3103.0104.0107.293.994.4100.694.0
冷蔵庫94.3101.392.492.091.087.097.098.795.791.5104.795.2

コジマの12月度は既存店が93.2%、全店で94.9%と前年割れが続いている。月次売上速報によると12月は前月に引き続きEC(モールサイト)での販売施策の影響に加えて、平年に比べて暖かい日が多かったことでエアコンが大きくマイナスになったことで、前年を下回ったとしている(EC前年比:69.4%、ECを除く全店は101.3%)。テレビやパソコン本体は、引き続きコロナ禍での買い替えサイクルの変化の影響で前年を下回ったが、携帯電話は電気通信事業法改正に伴う駆け込み需要の影響で前年を大きく上回った。
店舗状況は出退店ともなく、月末店舗数は143店となっている。

ヤマダホールディングス(デンキセグメント)

ヤマダホールディング 月次売上速報 2023年12月
■月次売上(前年同月比)
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
デンキセグメント95.995.695.4109.2108.2104.196.6103.8100.0

ヤマダホールディングスのデンキセグメント12月度は100.0%と前年並みとなった。この結果、2024年3月期第3四半期は100.1%となり、通期累計は101.0%となった。月次速報によると、電気通信事業法改正前の駆け込みにより、携帯電話の実績が大きく伸びた。一方で、気温が高かった地域が多いこともあり、季節商品は前年を下回る実績になったとしている。
店舗状況は直営店のみの公表で新店はなく、退店が6店舗あり、月末店舗数は984店となっている。退店の増加は、LIFE SELECTをコア店舗としたS&Bによる退店のためとしている。