【家電量販月次売上】10月はビック以外は好調商品少なくマイナスに

家電量販企業大手7社のうち、IR情報として月次売上速報を公表しているのはビックカメラ、ケーズホールディングス、エディオン、上新電機、コジマ(ビックカメラの子会社）の5社。いずれもPOS受注売上ベースの数字であり実際の販売額とは合致せず通期の売上等とも異なるが、家電量販企業の足元の販売動向や月々の変化などを知る上で重要な情報となる。
2023年10月度の月次売上速報が出そろった。

家電量販企業5社の10月度売上速報

10月も引き続き各地で高い気温が続いたが、柱となるエアコン販売はさすがに伸びる時期ではなく、さらに暖かい日が続いたことで早期の暖房機器販売も振るわなかった。携帯電話は新製品発売も続いたことで前年並みかそれ以上の販売もあったが、テレビの不振は変わらず、冷蔵庫や好調だった洗濯機も売上アップには貢献できなかった。ビックカメラはデジタルカメラや理美容家電、その他商品に分類される非家電製品でインバウンド需要の復活もあり、好調さをキープしているが、インバウンド需要の上乗せが期待できない郊外型店舗中心の家電量販店にとっては厳しい状況となっている。
年末商戦に向けて準備が進む市場であるが、メインのテレビなどのAV家電は買い替え需要の一巡感が多く、ここ数年伸びてきた大画面クラスも頭打ちになっている。冷蔵庫や洗濯機などの大型家電も新型コロナ禍での買い替え前倒しの影響が続いており、さらにエルニーニョ現象により「暖冬傾向」が予測されており、暖房機器などの季節家電もそれほど伸びないとの観測も出始めている。確たるデータはないが、「家電販売の増加＝修理件数の増加」といった事象を考えると、11月以降は家電修理件数が減少気味であり、本年の年末商戦は厳しい状況になる可能性もはらんでいる。

ビックカメラ

■月次売上(前年同月比)

2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月	2023年 10月
106.4	101.6	104.0	105.9	104.2	104.8	103.9	108.4	113.4	111.1	103.5	107.8

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	2022年 10月	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月	2023年 10月
音響映像商品	106.2	105.6	96.3	101.0	101.3	101.5	105.3	102.4	111.3	114.0	112.5	110.6	103.7
家庭電化商品	102.0	100.0	100.3	100.0	104.9	101.9	102.5	97.3	101.7	111.7	109.8	109.4	99.8
情報通信機器商品	72.6	94.3	96.6	99.0	95.1	93.8	91.9	93.7	96.1	99.1	100.0	90.9	102.8
その他の商品	101.7	134.0	113.4	120.9	126.8	134.3	131.6	133.4	136.3	132.6	123.8	107.7	129.8

ビックカメラの10月度は107.8％と12ヶ月連続のプラスに。月次売上速報を公表している他の家電量販店が月によって前年同月比マイナスになっている中、同社は安定して好調さをキープしていることになる。月次売上速報によると「音響映像商品」はデジタルカメラが好調で、オーディオが堅調に推移し、不振続きの他社よりもプラスに向いている。「家庭電化商品」は調理家電や理美容家電が好調だったものの、冷蔵庫や洗濯機がやや低調、エアコンが低調だった。「情報通信機器商品」はスマートフォンが好調、「その他の商品」はゲームや時計、医薬品、玩具、酒類が好調だったとしている。

ケーズホールディングス

■月次売上(前年同月比)

2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月	2023年 10月
93.1	100.6	96.7	99.6	94.4	93.0	90.8	87.7	109.9	109.6	98.7	95.3

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月	2023年 10月
テレビ	88.6	93.4	87.8	86.2	78.2	86.2	82.9	91.7	98.5	99.6	93.2	95.7
パソコン・情報機器	109.9	116.3	116.0	105.4	99.9	102.1	91.5	89.3	87.8	85.6	80.9	77.9
冷蔵庫	95.8	103.1	103.6	116.2	97.2	91.4	86.9	85.1	101.0	106.3	89.5	93.2
洗濯機	94.9	98.2	94.6	103.1	98.0	98.8	92.4	102.9	105.4	106.6	94.5	92.9
クリーナー	82.8	92.6	92.2	90.3	94.8	96.8	92.3	94.7	94.8	94.8	89.3	78.5
調理家電	96.0	98.1	94.4	95.2	90.5	99.1	93.5	102.2	106.9	101.3	93.2	98.2
理美容・健康器具	100.0	103.0	100.2	99.7	97.7	106.5	103.4	106.0	104.0	97.1	96.0	96.6
エアコン	86.1	113.7	88.1	91.8	91.8	75.2	84.0	71.8	137.0	144.3	139.2	103.5

ケーズホールディングスの10月度は95.3％と2ヶ月連続のマイナスとなった。この結果、2023年度計では98.0％と前期をやや下回る状況で推移している。商品別では各家電量販が低調になっているのに対し、103.5％と堅調さを維持しているが、それ以外はマイナスとなっている。
店舗状況は出退店ともなく、月末店舗数は552店となっている。

エディオン

■月次売上(前年同月比)

	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 ４月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月	2023年 10月
全店	97.8	102.8	96.5	103.0	97.2	97.7	97.8	90.6	110.1	102.6	98.1	96.0
直営店	99.0	102.5	95.8	103.5	97.1	97.9	97.4	90.4	110.1	102.1	97.8	95.5

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月	2023年 10月
テレビ	103.3	94.3	90.1	90.0	81.4	90.5	91.7	88.7	94.1	92.3	88.2	87.7
エアコン	90.6	122.8	91.3	97.8	91.6	92.1	98.6	74.5	140.7	116.2	116.8	83.6
冷蔵庫	95.4	108.3	104.9	121.4	97.6	98.3	96.6	92.4	107.3	98.2	96.8	93.2
洗濯機	99.2	99.7	93.3	112.3	96.0	97.5	89.8	101.8	108.5	105.8	108.2	98.4
パソコン	111.5	119.9	112.2	106.7	97.4	93.3	94.1	88.5	89.1	78.5	84.8	78.9
ELS事業 (リフォーム計)	93.3	101.6	97.8	95.6	96.5	95.6	91.9	85.8	90.8	88.9	92.6	85.7

エディオンの10月度は全店で96.0%、直営店で95.5％となり、いずれも2ヶ月連続のマイナスとなった。商品別でも主要製品すべて前年比マイナスで、本年度上期でプラスだった「エアコン」が83.6％、「洗濯機」が98.4％と低迷し、前期は好調に推移していた「ELS事業(リフォーム計)」は85.7％と苦戦が続いている。
店舗状況では新店で直営が1店舗(大阪府)あり、退店はFCで2店舗あったため、月末店舗数は1,208店となっている。

上新電機

■月次売上(前年同月比)

2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 ３月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月	2023年 10月
99.5	100.3	99.0	105.3	96.1	95.1	94.3	89.8	102.6	100.0	121.0	92.0

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 ５月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月	2023年 10月
テレビ	89.5	86.0	97.7	90.9	83.4	88.3	85.5	87.7	93.7	88.8	151.1	81.8
パソコン	101.5	100.4	105.4	97.9	98.4	95.9	85.6	83.4	88.7	79.4	120.2	73.8
携帯電話	152.1	133.3	139.6	130.2	115.1	121.5	116.2	115.9	125.0	143.0	138.7	112.1
エアコン	88.3	120.6	99.9	92.7	87.2	67.5	82.1	71.9	125.1	113.2	160.7	63.8
冷蔵庫	87.5	94.9	101.3	105.6	95.3	92.2	87.3	84.6	95.4	97.6	147.0	80.9
洗濯機・クリーナー	92.6	89.9	94.0	110.8	93.1	95.2	90.9	94.4	94.0	98.7	134.3	86.1

上新電機の10月度は92.0％となり、4ヶ月ぶりのマイナスとなった。商品別では「携帯電話」が112.1％と依然好調さをキープしたものの、それ以外はマイナスとなっており、特に第2四半期(7～9月)は猛暑の影響で高水準だった「エアコン」は63.8％と大きく落ち込んだ。
店舗状況は出退店ともなく、月末店舗数は220店となっている。
阪神タイガース 38年ぶりの日本一！おめでとうございます！！

コジマ

■月次売上(前年同月比)

	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月	2023年 10月
既存店	97.3	98.2	93.4	90.4	86.4	90.4	90.6	89.2	97.6	98.7	90.6	91.2
全店	97.7	99.3	94.6	91.6	87.8	90.9	89.6	89.3	98.4	100.1	92.1	92.3

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月	2023年 10月
テレビ	90.1	82.0	75.4	74.7	82.1	80.8	78.8	86.0	87.6	87.6	81.2	85.4
ブルーレイ・DVD (録画機含む）	77.9	73.9	87.2	60.2	56.4	82.2	80.2	83.8	82.9	77.2	81.2	67.2
エアコン	96.4	109.3	89.8	87.6	84.9	75.9	90.3	73.7	120.2	123.4	143.1	88.5
パソコン （本体のみ）	110.6	110.9	108.7	98.8	94.6	94.1	84.7	79.5	81.3	81.3	84.0	79.7
携帯電話	114.1	110.3	112.4	107.1	89.7	102.0	102.0	100.9	108.1	131.7	116.9	108.1
洗濯機	93.0	97.7	95.1	93.0	94.2	101.5	99.3	103.0	104.0	107.2	93.9	94.4
冷蔵庫	88.9	93.5	94.3	101.3	92.4	92.0	91.0	87.0	97.0	98.7	95.7	91.5

コジマの10月度は既存店が91.2％、全店で92.3％といずれもマイナスとなった。月次売上速報によると10月は前年がゲームソスとの新製品発売の影響で好調だったのに加え、EC(モールサイト)の販売施策の影響があり前年を下回った(ゲームソフト前年比68.7％、EC前年比80.2％)。ただ、消費税増税や新型コロナ禍の影響がなかった2018年10月と比較すると100.8％と上回る結果だった。月次売上速報によると、テレビやパソコン本体は前月に続き新型コロナ禍での買い替えサイクルの変化により前年を下回った。また、エアコンや電気ストーブなどの季節家電は、暖かい日が続いたことで前年を下回った。携帯電話は新製品発売の影響で好調だった前年を、さらに上回った。
店舗状況は出退店ともなく、月末店舗数は142店となっている。