【家電量販月次売上】3月は5社が前年同月比プラス

家電量販企業大手7社のうち、IR情報として月次売上速報を公表しているのはビックカメラ、ケーズホールディングス、エディオン、上新電機、コジマ(ビックカメラの子会社)、ヤマダホールディングス(セグメント別)の6社。いずれもPOS受注売上ベースの数字であり実際の販売額とは合致せず通期の売上等とも異なるが、家電量販企業の足下の販売動向や月々の変化などを知る上で重要な情報となる。
2024年3月度の月次売上速報が出そろった。

※出典:各家電量販企業のWebサイト・IR情報。数字は売上POSデータに基づいて作成したもので、速報値であり決算等の数字とは異なります。ご注意ください。

家電量販企業6社の3月度売上速報

家電量販店月次売上速報 2024年3月

大手家電量販店のうち、8月決算のビックカメラ(その子会社であるコジマ)を除いて、3月は期末となる。そのためこの時期は「本決算セール」を前面に打ち出して売上アップを図っている。さらに時期的に「新生活応援セール」などにも注力し、店頭訴求をはじめ、折り込みチラシやECサイトでも大々的に「家電購入のチャンス」を打ち出すタイミングだ。今シーズンをみると、このような施策はほぼ成功したといえるだろう。
長期間低迷状態が続いた「テレビ」も若干の復調が見えてきたこと、冷蔵庫や洗濯機等の大型家電も買い替えが促進され、エアコンも寒暖差が激しく、例年よりもプラスに働いた。期末に合わせたリフォーム・工事なども堅調だった。年間を通じて厳しい側面もあったが、前年比では横ばいから微増で着地した家電量販店も少なくなかった。
では2024年度はどうなるのか。引き続き物価上昇傾向にある中で、賃金アップも話題になり、景気はさほど悪くない、多少上向きになるといった憶測も出ているが、家電製品の付加価値化は消費者に強く刺さるものでもなくなり、低価格帯と高価格帯への二極化も進んでいる。さらに新型コロナ禍を経て、ECサイト購入の流れは定着してきている。「家電業界はゆっくりと停滞していく」との見方も出ている中で、2024年度も決して楽観できない状況にあるといえそうだ。

ビックカメラ

ビックカメラ 月次売上速報 2024年3月
■月次売上(前年同月比)
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
2024年
1月
2024年
2月
2024年
3月
104.8103.9108.4113.4111.1103.5107.8109.3104.0104.7107.3111.9
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
2024年
1月
2024年
2月
2024年
3月
音響映像商品105.3102.4111.3114.0112.5110.6103.7108.9105.2103.8117.7119.2
家庭電化商品102.597.3101.7111.7109.8109.499.8109.896.7100.5102.5110.0
情報通信機器商品91.993.796.199.1100.090.9102.8109.5107.4109.4110.9110.0
その他の商品131.6133.4136.3132.6123.8107.7129.8108.9110.0106.9103.0111.7

ビックカメラの3月度は111,9%と、前年比プラスは17ヶ月連続となった。すべての商品カテゴリーで2ケタプラスとなり、好調さは続いている。月次売上速報によると、「音響映像商品」はデジタルカメラや音響アクセサリーが好調だった一方で、テレビがやや低調に。「家庭電化商品」は調理家電、エアコンや理美容家電が好調で、冷蔵庫や洗濯機が堅調だった。「情報通信機器商品」はパソコン周辺機器やスマートフォンが好調で、パソコン本体も堅調に。「その他の商品」は時計や医薬品、酒類、寝具が好調で、玩具やスポーツ用品が堅調だったとしている。

ケーズホールディングス

ケーズホールディングス月次売上速報 2024年3月
■月次売上(前年同月比)
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
2024年
1月
2024年
2月
2024年
3月
93.090.887.7109.9109.698.795.3102.193.892.198.7107.0
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
2024年
1月
2024年
2月
2024年
3月
テレビ86.282.991.798.599.693.295.7100.094.897.3101.0102.1
パソコン・情報機器102.191.589.387.885.680.977.976.272.269.385.298.6
冷蔵庫91.486.985.1101.0106.389.593.296.089.590.793.296.6
洗濯機98.892.4102.9105.4106.694.592.999.395.892.895.9102.1
クリーナー96.892.394.794.894.889.378.5104.9104.498.6103.4106.4
調理家電99.193.5102.2106.9101.393.298.2103.0101.3101.5103.8113.3
理美容・健康器具106.5103.4106.0104.097.196.096.699.7102.7103.1105.1110.9
エアコン75.284.071.8137.0144.3139.2103.5119.083.891.9103.3119.7

ケーズホールディングスの3月度は107.0%と4ヶ月ぶりのプラスとなった。結果、2023年度の下半期は98.0%となったが、上半期が98.4%であり、年計では98.2%と微減だった。3月度の商品別ではテレビが102.1%と2ヶ月連続プラスとなったほか、洗濯機、クリーナー、調理家電、理美容・健康器具、エアコンがいずれも前年同月比でプラスとなった。
店舗状況は出店が1店舗(静岡県)、退店が1店舗(埼玉県)あり、月末店舗数は556店に。
ケーズホールディングスの2月度は98.7%と3ヶ月連続のマイナスとなった。商品別ではテレビが101.0%と昨年11月以来の前年比マイナスから脱却したほか、クリーナー、調理家電、理美容・健康器具、エアコンが前年比プラスとなっている。
店舗状況は出店が1店舗(長野県)、退店が1店舗(静岡県)あり、月末店舗数は556店となっている。前期末が550店だったので、6店舗増加となった。

エディオン

エディオン 月次売上速報 2024年3月
■月次売上(前年同月比)
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
2024年
1月
2024年
2月
2024年
3月
全店97.797.890.6110.1102.698.196.0104.799.395.5100.4107.1
直営店97.997.490.4110.1102.197.895.5104.599.595.0100.2107.3
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
2024年
1月
2024年
2月
2024年
3月
テレビ90.591.788.794.192.388.287.792.398.597.392.3100.9
エアコン92.198.674.5140.7116.2116.883.6119.385.391.797.8112.4
冷蔵庫98.396.692.4107.398.296.893.2109.294.298.590.998.6
洗濯機97.589.8101.8108.5105.8108.298.4105.395.898.394.8104.1
パソコン93.394.188.589.178.584.878.978.368.575.389.0101.2
ELS事業
(リフォーム計)
95.691.985.890.888.992.685.7103.3106.4106.4112.4118.1

エディオンの3月度は全店で107.1%、直営店で107.3%と、いずれも2ヶ月連続のプラスとなった。この結果、2023年度下半期は全店100.7%、直営店は100.5%で、年度計は全店100.2%、直営店100.0%と前期横ばいで着地した。
3月度の商品別ではテレビが100.9%と2022年11月以来の前年同月比プラスになったほか、エアコン、洗濯機、ELS事業(リフォーム計)がプラスになった。
店舗状況は新店がFC店で2店、退店は直営店で1店舗、FC店舗で6店舗あり、月末店舗数は1,202店となっている。前年度末が1,209店だったので、7店舗の減少となった。

上新電機

上新電機 月次売上速報 2024年3月
■月次売上(前年同月比)
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
2024年
1月
2024年
2月
2024年
3月
95.194.389.8102.6100.0121.092.0118.988.788.793.499.4
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
2024年
1月
2024年
2月
2024年
3月
テレビ88.385.587.793.788.8151.181.8151.683.185.199.6107.1
パソコン95.985.683.488.779.4120.273.8105.264.370.688.499.1
携帯電話121.5116.2115.9125143138.7112.1129.2170.873.588.9100.8
エアコン67.582.171.9125.1113.2160.763.8161.367.278.797.3103.7
冷蔵庫92.287.384.695.497.614780.9157.577.984.496.294.7
洗濯機・クリーナー95.290.994.494.098.7134.386.1141.986.292.590.199.8

上新電機の3月度は99.4%で4ヶ月連続のマイナスとなった。2023年度上半期は100.7%だったが下半期は96.3%となり、2023年度通期では98.4%と減少となった。
3月度の商品別では、テレビが107.1%と4ヶ月ぶりにプラスになったほか、携帯電話やエアコンがプラスになった。
店舗状況では新店が1店舗あり、退店が1店舗あったため月末店舗数は218店となっている。2022年度末が221店舗だったので、3店舗の減少となった。

コジマ

コジマ 月次売上速報 2024年3月
■月次売上(前年同月比)
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
2024年
1月
2024年
2月
2024年
3月
既存店90.490.689.297.698.790.691.296.593.287.399.9107.0
全店90.989.689.398.4100.192.192.398.194.988.8101.8108.7
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
2024年
1月
2024年
2月
2024年
3月
テレビ80.878.886.087.687.681.285.492.985.193.0112.1103.0
ブルーレイ・DVD
(録画機含む)
82.280.283.882.977.281.267.286.681.063.3102.8103.6
エアコン75.990.373.7120.2123.4143.188.5118.080.789.1100.9121.5
パソコン
(本体のみ)
94.184.779.581.381.384.079.776.071.273.783.096.0
携帯電話102.0102.0100.9108.1131.7116.9108.1123.2182.179.799.6111.8
洗濯機101.599.3103.0104.0107.293.994.4100.694.091.2104.8101.3
冷蔵庫92.091.087.097.098.795.791.5104.795.299.7102.5111.0

コジマの3月度は既存店で107.0%、全店で108.7%となった。全店は2ヶ月連続、既存店は18ヶ月ぶりのプラスになった。
月次売上速報によると、新生活に関連する商品が好調だったことに加えて、省エネ家電買換促進のための自治体の補助金施策の影響もあり、前年を上回った。テレビは販売施策の影響により大型クラスが好調に推移。エアコンは販売施策の影響に加え、補助金施策の影響もあって省エネモデルの販売が好調だった。冷蔵庫は新生活関連商品が好調で、補助金施策の影響もあり小容量・大容量クラスが好調に推移した。その他、デジタルカメラ(前年比150.9%)や掃除機(前年比115.0%)が好調だったとしている。
店舗状況は新店がなく、退店が1店舗あったため月末店舗数は141店になっている。

ヤマダホールディングス(デンキセグメント)

ヤマダホールディングス 月次売上速報 2024年3月
■月次売上(前年同月比)
2023年
4月
2023年
5月
2023年
6月
2023年
7月
2023年
8月
2023年
9月
2023年
10月
2023年
11月
2023年
12月
2024年
1月
2024年
2月
2024年
3月
デンキセグメント95.995.695.4109.2108.2104.196.6103.8100.092.899.3106.6

ヤマダホールディングスのデンキセグメント3月度は106.6%と3ヶ月ぶりのプラスとなった。その結果、2023年度上半期は101.5%、下半期は99.9%となり、2023年度累計では100.7%とほぼ横ばいとなった。
月次速報によると3月度はテレビやパソコン、携帯電話が復調したほか、土日が前年より1日ずつ多い暦の影響もあって、前年実績を上回った。2023年度は継続する物価上昇の中で厳しい環境にあったが、高付加価値商品の販売が伸長して売上の下支えになった。インテリア・玩具・リフォームなどの非家電商品がLIFE SELECT店舗を中心に売上を伸ばし、トータルで前期以上の実績になったとしている。
店舗状況は直営店のみの公表で新店が2店舗あり、退店が1店舗あり、月末店舗数は975店となっている。